・・・社会科学、政治的活動、労働運動の全線が、今日は日本のいつの時代にあったよりも正常な関係をもって市民生活の中に立ちあらわれてきている。したがって、文学も文学の自主的な足場とともに、民主国としての日本の後進性をいまや十分自覚する能力を与えられ、・・・ 宮本百合子 「作家の経験」
・・・ 私は順次、第一の批判からとりあげてそれを正しく自己批判に摂取すると同時に、プロレタリア文学運動全線との関係においてその批判の意を観察して行きたいと思う。 われわれの陣営でどの一つの論文にしろいわゆるケンカを目ざして書かれるというこ・・・ 宮本百合子 「前進のために」
・・・これは社会生活全線の社会主義的前進を意味する。五ヵ年計画がはじまって、第二年目の一九三〇年にはソヴェトの生産と文学との関係が、「十月」以来どの時期にもなかった程緊密になった。 生産に従事するソヴェト労働者、農民、一般勤労者の文化水準はめ・・・ 宮本百合子 「ソヴェトの芝居」
・・・一揆、暴動などという悲劇的な正義の爆発の道をとおらずに、人民の全線が抑圧に抵抗しようとする事業は、わたしたちにとって新しい。この広汎な人間的めざめを土台として、新しい民主的作品が大衆の生活に浸透する必然をもちはじめたのである。この現実から民・・・ 宮本百合子 「その柵は必要か」
・・・例えば、組合の闘争において、権力との闘いにおいて、プロレタリアートの全線にプラスするどんな小さな成果も、わたしたちはそれを念入りに計算します。民主主義出版物は、その一つ一つの成果を或る場合には誇張してわたしたちに知らせる場合さえあります。そ・・・ 宮本百合子 「討論に即しての感想」
・・・ 脚本では、すでに村山知義の「全線」「勝利の記録」などがある。詩は、多くパリ・コンミューン、ソヴェト同盟の「十月」その後の社会主義建設、朝鮮、中国の同志についてうたった。小説に橋本英吉の「市街戦」、村山知義の短篇小説、報告的旅行記として・・・ 宮本百合子 「プロレタリア文学における国際的主題について」
・・・ 林房雄は、プロレタリア作家として持つ自身の影響力によって、作品はその成功失敗にかかわらず、プロレタリア文学運動全線の問題として批判されるのであることを、まともに認めなければならぬ。ブルジョア・ジャーナリズムがわが陣営の作家を恐怖し、有・・・ 宮本百合子 「文学に関する感想」
・・・「全線」「吼えろ、支那!」などが演ぜられプロレタリア大衆の熱烈な支持をうけた小劇場の舞台が、今日の日本プロレタリア作家同盟第三回全国大会の大事な演壇である。 飾りっけない後の灰色の壁に、赤い「ナップ」旗が張られている。 ┌──・・・ 宮本百合子 「文芸時評」
・・・つまり文学というものに連関して私たちの感情の中にとかく刺戟されやすいブルジョア的な個人的ヒロイズムや、それに対する個人的な反感などというものをわたしたちは、階級の全線的な関係からみてゆけるように文学感覚そのものにおける政治性をたかめてゆかな・・・ 宮本百合子 「平和運動と文学者」
・・・訓練ある英国労働組合はほとんど全線にわたって資本家国家のかくの如き要求を合理的と認め、現に賃銀値下げに協調しているではないか。この合理化を非合理化だと叫んでいるのは、英国人の商魂という特殊性を没却した第三インターナショナルの指令のままに誤っ・・・ 宮本百合子 「ロンドン一九二九年」
出典:青空文庫