・・・ 芸への愛好を伴う現実批判の衰退は随筆の流行をも招来した。内田百間の「百鬼園随筆」を筆頭として諸家の随筆が売り出されたが、これは寧ろ当時の文学の衰弱的徴候として後代は着目する性質のものなのである。 三 ・・・ 宮本百合子 「昭和の十四年間」
・・・ 内田巖さんのお母さんを描かれた二枚の肖像、永井潔さんの蔵原さんの肖像と男の像、なにか印象にのこります。一口で言いきれないものが残されているのです。 内田さんという方は、作家からみれば、何か複雑な内部構成をもっている方だと感じま・・・ 宮本百合子 「第一回日本アンデパンダン展批評」
・・・ また或る夜、そこは野上さん家で、芥川さん、内田百間さん、中川一政さん御夫婦と私の集りでした。野上さんの謡の先生に、尾上さんという方があって素晴らしい謡だから一遍きかせたいと、招ばれたのです。謡は謡ですんで、内田さん、芥川さん、互に・・・ 宮本百合子 「田端の坂」
・・・ 内田祥三 宮本百合子 「東大での話の原稿」
・・・のころにはもう六、七年も続いて来ているので、初めとはよほど顔ぶれが違って来ていたであろうが、その晩集まったのは、古顔では森田草平、鈴木三重吉、小宮豊隆、野上豊一郎、松根東洋城など、若い方では赤木桁平、内田百間、林原耕三、松浦嘉一などの諸君で・・・ 和辻哲郎 「漱石の人物」
出典:青空文庫