・・・郵便切手。図書館。風知草。単行本。『伸子』〔第一部〕。私たちの建設。一九四七年一月から〔八〕月まで中央公論につづけて「二つの庭」を書いた。これは二十数年前に書いた「伸子」の続篇であり、また、或る意味での日本インテリゲ・・・ 宮本百合子 「年譜」
・・・ こんどはじめて、随筆集という形で一冊の本にまとまるにつけて『明日への精神』や『私たちの生活』に収録されている随筆のうちからいくつかを選び「郵便切手」そのほかの最近書いたものに、未発表のいくつかを加えた。「兄と弟」「書簡箋」「ベリンスキ・・・ 宮本百合子 「はしがき(『女靴の跡』)」
・・・ ひろ子がそんな石のような女で、身のまわりのことにも今後一切手をかりまいと思いきめたなら、その重吉にとって、ひろ子の示す愛着は、どんな真実の意味があり得よう。二人の自然な愛情はなくて、重吉が決して惑溺することのない女の寧ろ主我刻薄な甘え・・・ 宮本百合子 「風知草」
これまで、郵便切手というものは、私たちのつましい生活と深いつながりのある親しみぶかいものであった。三銭の切手一枚で封書が出せた頃、あのうす桃色の小さい四角い切手は、都会に暮しているものに故郷のたよりを、田舎に住んでいるもの・・・ 宮本百合子 「郵便切手」
出典:青空文庫