・・・そういう人間が集った一つの運動的な部隊としての価値が、ただ雑多な人間の寄せ集めの総和としてだけの価値を持つのでなく、別個のより高い価値を作り出すところにその運動の本質が備えている歴史的な新たな価値があった。従って、そういう運動に参加していた・・・ 宮本百合子 「ヒューマニズムへの道」
・・・ 荷風のロマンティックな、芸術至上主義風なリアクションは、ヨーロッパ文化の伝統はそのまじりもののない味いにおいて、日本の文化の伝統はまたヨーロッパとは別個なるものとして、あくまでペンキで塗られざる以前の姿において耽美したいという執着によ・・・ 宮本百合子 「歴史の落穂」
・・・云うことについて論じ、併せてそれが個性原理としてどうして世界観念へ同等化し、どうして原始的顕現として新感覚がより文化期の生産的文学を高揚せしめ得るかと云うことに迄及ばんとしたのであるが、それはまた自ら別個の問題となって現れなくてはならぬ境遇・・・ 横光利一 「新感覚論」
出典:青空文庫