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・・・これらは凡て文章の意味を明らかにする以外、音調の関係からして、副詞を入れたいから入れたり、二つで充分に足りている形容詞をも、一つ加えて三つとしたりするのである。コンマの切り方なども、単に意味の上から切るばかりでなく、文調の関係から切る場合が・・・
二葉亭四迷
「余が翻訳の標準」
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・・・などが世間の注目をひき、文章の古典復興物語調流行がきざしかけた頃、なにかの雑誌で、谷崎と志賀との文章を対比解剖し、二人の文章にあらわれている名詞、動詞の多少、形容詞、副詞の性質を分析し、志賀直哉を客観的描写の作家とし、谷崎潤一郎の最近書く物・・・
宮本百合子
「芸術が必要とする科学」