〔冒頭原稿一枚?なし〕以外の物質は、みなすべて、よくこれを摂取して、脂肪若くは蛋白質となし、その体内に蓄積す。」とこう書いてあったから、農学校の畜産の、助手や又小使などは金石でないものならばどんなものでも片っ端から、持っ・・・ 宮沢賢治 「フランドン農学校の豚」
・・・ マミミはまるで頭から足から火がついたようにはねあがって舞台から飛び下りようとしましたら、黒い助手のばけものどもが麦をなげるのをやめてばらばら走って来てしっかりと押えました。「マミミ。おれだ。ネネムだよ。」ネネムは舞台へはねあがりま・・・ 宮沢賢治 「ペンネンネンネンネン・ネネムの伝記」
・・・すぐ上の壁に大きながくがかかって、そこにそのうちの四人の名前が理髪アーティストとして立派にならび、二人は助手として書かれていました。「お髪はこの通りの型でよろしゅうございますか。」私が鏡の前の白いきれをかけた上等の椅子に坐ったとき、その・・・ 宮沢賢治 「ポラーノの広場」
一月○日 朝飯をたべて、暫く休んで、入浴してかえって横になっていると、傷の写真をとりますから腹帯はあとになすって下さいということだ。やがて、白い上っぱりを着た写真師が助手をつれて入って来て、ベッドに仰むきに臥ている自分・・・ 宮本百合子 「寒の梅」
・・・イレーヌは年こそ若いけれども、この困難と活動の期間にキュリー夫人にとって二人とない助手、相談相手、友人として成長したのであった。 四年間のキュリー夫人の活動がどんなに激しく広汎であったかということは、小さい娘であったエーヴの書く手紙・・・ 宮本百合子 「キュリー夫人」
・・・ 心の立ち勝った妹を助手として持つと云う事は、何か一生の仕事を定めて、勉める姉の身としてどれほど心強いか分らない。 如何に弟達は、立派に又、数多あっても、何かにつけ細かに心づけて呉れるものは、妹に及ぶものはないのである。 私は此・・・ 宮本百合子 「暁光」
・・・ 鶏舎に面した木戸の方へ廻ると十五の子の字で、雨風にさらされて木目の立った板の面に白墨で、 花園 園主 世話人 助手人と、お清書の様にキッパリキッパリ書いてある。 微笑まずに居られない。 気がついて見る・・・ 宮本百合子 「後庭」
・・・でもうちはそういうことをする人がなさすぎて、どこもかしこもうず高いから、ポツポツ女中さんを助手にして、ごみ片附けは細君にとっても歓迎です。気持のよい疲れ方というものを求める気持が強いにつけ、好ちゃんがいたらどんなによかろうかと思います。元気・・・ 宮本百合子 「獄中への手紙」
・・・国内戦時代のことで、そのような悪童的な放浪の道はたまたま赤軍の装甲列車にぶつかり、そこで汽鑵たき助手などやることがあったりした。そのサーニが、臓品分配のことから刃傷沙汰を起し、半殺しの目にあってシベリアの雪の中に倒れていたところを、その地元・・・ 宮本百合子 「作品のテーマと人生のテーマ」
・・・戦災者、復員者、引揚者みんな困窮している人々は六年を終った子供を生計のための助手にしなければやりきれない場合が多い。工場へなり給仕になり店員になりやってせめて喰べるものだけは、何とかして雇主にもって貰いたいという非常に切迫した要求がある。現・・・ 宮本百合子 「女性の歴史」
出典:青空文庫