・・・その辛さは、自身の成長過程に不調和が生じているばかりでなく、その成長期の動乱を統一する力として外部にある学課、ことに数学その他が十分若く不安な精神を掴みまとめる魅力をもっていないことからも、凌ぎにくいものとして経験されるのだと思われる。・・・ 宮本百合子 「私の科学知識」
・・・ 六月二十五日、朝鮮に動乱がひきおこされてから、日本のジャーナリズム、新聞、ラジオなどの上で平和と原爆禁止についての発言は、何となし「こうなっては、仕方がない」という風に扱われはじめた。「平和」はいつもいつもある特定の一国によって阻害さ・・・ 宮本百合子 「私の信条」
・・・ 歌集『涌井』は動乱のさなかに作られた歌の集である。戦争の最後の年、空襲がようやく激甚となってくるころに、先生は、病を押して災禍を信州に避けられた。その後東京の町は激しく破壊され、先生が大震災後住みついていられたお宅も、愛蔵された書籍や・・・ 和辻哲郎 「歌集『涌井』を読む」
出典:青空文庫