・・・アメリカの科学者たちが、アインシュタインをはじめとして、人類の平和のための原子力の使いかたを主張していることは、くりかえして報道しないで、こんどは原子力よりももっと殺戮力のつよい放射線の雲をつくることが発明されたなどと、得意そうに報道しまし・・・ 宮本百合子 「新しい卒業生の皆さんへ」
・・・こんにちジョリオ・キューリーが原子力の研究の人類的な方法について語り、それについて行動しているように、文学の方法も語られるべき歴史の段階に来ているのではないだろうかと思う。人間の価値は、こんにちおそろしいテムポで、その真実を露出しつつある。・・・ 宮本百合子 「心に疼く欲求がある」
・・・地球はまわるといったガリレオ・ガリレイは、宗教裁判にかけられました。原子力の法則――科学的真理――を人類の幸福のために使うか、もっとも富める資本主義の代表者たちの特権を守るために使用するかということは、現代の人類の理性にかけられた課題です。・・・ 宮本百合子 「質問へのお答え」
・・・アインシュタインは何と云っているだろう。原子力の人類平和的利用のためにアメリカの科学者を中心として世界の科学者が努力している。ユネスコの精神は何であろうか。資本家であり、社会主義者でさえないウォーレスが、第三党をつくって、世界平和のための可・・・ 宮本百合子 「平和への荷役」
・・・平和の問題、原子兵器禁止の問題を、こんにち、別の云いかたで表現すれば人類はたった二十世紀で、自身の発見した原子力によって壊滅してしまわなければならないものなのか、それとも、より発展した多数者の理性の協力で、原子力を支配する力をコントロールし・・・ 宮本百合子 「私の信条」
出典:青空文庫