・・・最高五百円の月給、世帯主は一ヵ月生活費として三百円受取れ、あとは家族の頭数割で、一人百円ずつで、もし家族五人のところでしたら、一ヵ月の生活費として七百円、それに月給の五百円と合計月に千二百円取れるから今までの生活より余程いいということ、楽な・・・ 宮本百合子 「幸福について」
・・・ところが不覚にも、その棧橋の陸につないであるところに私と栄さんと合計三十何貫の重みがずっしりとかかっていることに心付かず、私が「十二貫じゃ無理よ、こっちはこの通りなんだからね、」と云ったのでナアーンダとあきらめ、いねちゃん、大笑い、帰りに盲・・・ 宮本百合子 「獄中への手紙」
・・・のために歌稿をよせた作者の数は一万八千人であった。合計三十七万五千首という尨大な数の中から、十人の現歌壇人の選者によって、選がされた。選者の一人である窪田空穂氏の選後の感想には、今日の文学の問題として様々の意味から深い感興をよびおこすものが・・・ 宮本百合子 「今日の文学の展望」
出典:青空文庫