・・・ また、外国の交際においても、字義を広くしてこれを論ずれば、霞が関の外務省のみをもって交際の場所と思うべからず。ひとたび国を開きてより以来、我が日本と諸外国との間には、貿易商売の交際あり、学芸工業の交際あり、これを概すれば、双方の間に智・・・ 福沢諭吉 「学者安心論」
・・・千葉のファシスト地下組織は、もと上海特務機関中尉である大島軍司という人物を中心にして、千葉県知事、市長、成田山の僧正、千葉市警察署長、その他各地の警察署長とれんらくして、大島は警察パス、外務省パスを所持して、現在は法務庁に籍を持っているそう・・・ 宮本百合子 「新しい抵抗について」
・・・その期間ソヴェトに関して出版されたものは、軍、外務省の情報機関を通じたものであり、構想敵の実体調査であった。反人民的な本質に立つものしか許されなかった。 この十数年間は、作者の生活波瀾もはげしく、度々の検挙や投獄で、三二年ごろ書いたソヴ・・・ 宮本百合子 「あとがき(『宮本百合子選集』第九巻)」
・・・戦争中、日本の超国家主義者たちは、ヒットラーにならって、日本文化の優秀を世界に誇ろうとして非常に努力した。外務省の国際文化振興会にしても、日本の自然の美しさを高価なグラビア版にうつしたり、雛祭りの飾りを紹介したりして、日本の文化的優越を示そ・・・ 宮本百合子 「偽りのない文化を」
・・・ イギリスの皮肉屋の爺さんであるバーナード・ショウだの、現代物理学の神であるアインシュタインだのが日本の能楽の価値を理解したのは、文化への共感として当然であるけれども、そして、外務省が出版する雑誌やパンフレットに能の美を語る理由もわかる・・・ 宮本百合子 「今日の生活と文化の問題」
・・・最も肉体的表情であって翻訳を必要としないスポーツで日本は世界の最前列に伍していることや、所謂躍進日本の他の一面としての文化紹介を欲する政府当局の意嚮などが、外務省文化事業部へ反響して、先ず国際文化振興会が半官的な組織で成立し、つづいて島崎藤・・・ 宮本百合子 「今日の文学の展望」
・・・人民戦線が勝利して以来、フランス出版物の輸入をきびしく制限しつつ、何のために志賀高原のてっぺんに国際観光ホテルを建てて、外務省がそのために尽力しなければならないのであろうか。 国威ということが、昨今新しい内容でとりあげられている。そ・・・ 宮本百合子 「日本の秋色」
・・・は、ともかくその内容も、様式も世界文学に類のないものだから、あれがいちばんいいと考えて、外務省の国際文化振興会ですか、ああいうところで「源氏物語」をいろいろな形で断片的にも紹介しました。この間ソヴェトの作家シーモノフ氏に会いましたとき、日本・・・ 宮本百合子 「婦人の創造力」
出典:青空文庫