・・・「知らない、おじさん。」「もっとも、一所に道を歩行いていて、左とか右とか、私と説が違って、さて自分が勝つと――銀座の人込の中で、どうです、それ見たか、と白い……」「多謝。」「逞しい。」「取消し。」「腕を、拳固がまえの・・・ 泉鏡花 「貝の穴に河童の居る事」
・・・暴言ならば多謝。この泣き虫は、しかし、岩のようだ。飛沫を浴びて、歯を食いしばっている――。ずいぶん、逢わないな。―― He is not what he was. か。世田谷、林彪太郎。太宰治様。」 月日。「貴兄の短篇集のほうは・・・ 太宰治 「虚構の春」
・・・る実情にて候代女述意と称する春風馬堤曲十八首に曰くやぶ入や浪花を出て長柄川春風や堤長うして家遠し堤下摘芳草 荊与棘塞路荊棘何無情 裂裙且傷股渓流石点々 蹈石撮香芹多謝水上石 教儂不沾裙一軒の茶店の・・・ 正岡子規 「俳人蕪村」
出典:青空文庫