・・・ ばけもの世界長は、もう大広間の正面に座って待っています。世界長は身のたけ百九十尺もある中世代の瑪瑙木でした。 ペンネンネンネンネン・ネネムは、恭々しく進んで片膝を床につけて頭を下げました。「ペンネンネンネンネン・ネネム裁判長は・・・ 宮沢賢治 「ペンネンネンネンネン・ネネムの伝記」
・・・ もう一つそれより小さい女の子の寝台があって、その先が大広間です。ブルジョアが住んでいた時分はここでダンスでもやったのでしょう。今はレーニンの肖像が飾ってある。寄木の床です。「集会はいつもここでやるんです」 通りぬけた先が男の子・・・ 宮本百合子 「従妹への手紙」
・・・ と開会を知らせるベルが鳴ったので、ニーナとナターシャはびっくりして互につかまり合い、やがて大笑いしながら、四五百人はいる大広間へ入って行った。〔一九三二年三月〕 宮本百合子 「ソヴェト同盟の三月八日」
・・・入ったところはやはり白い滑らかな石をしきつめた大広間だ。天井から新式な大電燈が煌々と輝いて、今あんな原っぱの夜道を通って来たということが信じられぬような印象を与える。小ざっぱりした平常着姿で本をもったりギターをもったりしている男女労働者に交・・・ 宮本百合子 「ドン・バス炭坑区の「労働宮」」
・・・ シュールダンの大広間は中食の人々でいっぱいである。それと同様、広い庭先は種々雑多の車が入り乱れている――大八車、がたくり馬車、そのほか名も知れぬ車の泥にまみれて黄色になっているのもある。 中食の卓とちょうど反対のところに、大きな炉・・・ 著:モーパッサン ギ・ド 訳:国木田独歩 「糸くず」
出典:青空文庫