・・・なかなかしっかりしたよい名で好評です、合作ですね。 今日寿江子が帰ります、そちらに行ける人が出来て私はやっとホッと致します。 隆治さんが二十五日から九日までうちへ泊ってそれからまた南へ行くということが友子さんと母上のお便りでわかりま・・・ 宮本百合子 「獄中への手紙」
・・・し、心臓衰弱で毎日注射していたし、すぐに家をもつことは出来ず林町の二階の長四畳へテーブルを持ちこんで、十月以後は、文学的な感想や評論のようなものを相当沢山かき半年前よりは発展をとげたということで一般に好評でした。現代文化社というところで私の・・・ 宮本百合子 「獄中への手紙」
・・・致等は、主人公の良心の表現においても、当時の文壇的風潮をなしていた行為性、逆流の中に突立つ身構えへの憧憬、ニイチェ的な孤高、心理追求、ドストイェフスキー的なるもの等の趣向に一縷接したところを含み、その好評に於ても、プロレタリア文学の成長の道・・・ 宮本百合子 「今日の文学の展望」
・・・という小説は好評を博した。『人民文庫』は昨年の初めごろ急に廃刊されたが、そのことのうちにも、歴史の響きがこもっていた。 作家として「石狩川」をまとめて命を終られたことは或る意味で本懐であったであろう。けれども平林氏の死にしろ本庄氏の・・・ 宮本百合子 「作家の死」
・・・に対する余りの好評が、却ってその好評の本質への疑問を誘う機縁となったことは興味がある。「ひかげの花」に於ける永井荷風の人生への態度は、このようにして生きる一組の男女もある、と云うことの巧な描写に止っている。作品を貫いて流れているものは荷風年・・・ 宮本百合子 「昭和の十四年間」
・・・その人たちはあれがアメリカで好評なのは何故でしょうと不満相に云いましたけれど、その何故でしょうというところに心を止めた問いを自分にも向けていた人はありませんでした。なんだ、つまらないという意味でも何故でしょうと云い棄ててしまうのと、一歩すす・・・ 宮本百合子 「女性の生活態度」
・・・豊かに物をもっている人に対する社会人としての習慣的な畏敬めいた気分も我知らず加って、進駐軍は、好評をもってみられていると云えるであろう。 ところが、そのような進駐軍の明るさが、そのまま曇りない明朗さとして、日本人の感情に影響しているかと・・・ 宮本百合子 「その源」
・・・などが好評を博したことによって、もし疾病、不具などだけを階級的な見地から切り離して文学に描く風潮が生じるようなことがあれば、警戒されなければならないであろう。私は、この作者の次の作品を、興味をもって待とうと思う。〔一九三四年十月〕・・・ 宮本百合子 「入選小説「毒」について」
・・・千枚近い長篇を熱心に書き通したことは作家としての技術を習熟さすためには大変に役に立った、この作品が比較的好評であったこともあって、それから後いろいろな短篇中篇を書きましたが、どんな題材でも当時の私が書こうとした範囲のものでは一応小説として読・・・ 宮本百合子 「「伸子」について」
・・・を昨年新たな認識で上演し好評を博したことはわれわれの記憶に新しい。その同じ一人の芸術家が今月は『文芸』の誌上で、「父たち母たち」のような作品を示してくれる時、「どん底」を観、その目でこの小説を読みする一人の読者は、全く相似ない両面の心の形に・・・ 宮本百合子 「ヒューマニズムへの道」
出典:青空文庫