・・・一つは市立の女学校であり、この場合の性質は、学校の経営的な原因より、むしろはっきり、戦時的認識を若い娘心に銘させようとする意味に立っているのである。 どの新聞雑誌を見ても、銃後の婦人の力の実質が、この頃は生産拡充への直接間接の参加という・・・ 宮本百合子 「新しい婦人の職場と任務」
・・・ 年ごろの娘心と母の恋愛との感情のもつれが描き出されているところが、この映画へ多く女の人の注意をあつめていると思う。イレーネの母は、四十歳前後の年ごろであろう。女の厄年というものを日本の云いならわしでは十六とか三十三とか云って、それには・・・ 宮本百合子 「雨の昼」
・・・として描いている結婚の対手の財力に重きをおく今日の娘心を肯定しているのも面白い。「誰だって貧乏したくないのは人情だろうし、それを切りぬける自信は、とても私たちにはない」財産家には「娘の夢を育ててくれる金力がある。理想を徐々に実現してゆく余裕・・・ 宮本百合子 「若い婦人の著書二つ」
・・・そして、娘心のその夢の実現のために今の社会で必要なのは金であり、良人はそれ故金持でなければならず、その判断で自分たちは前時代の女の感傷は失っているというようなことを、何か新しい価値のように思う不幸な敗北を告白するのである。この結論が、最も俗・・・ 宮本百合子 「若い娘の倫理」
出典:青空文庫