・・・全学級の大騒ぎになった。私は、恐怖のためにわなわな震えていた。ストライキになりかけたとき、その教師が、私たちの教室にこっそりやって来て、どもりながら陳謝した。ストライキは、とりやめとなった。A君とは、そんな共通の、なつかしい思い出がある。・・・ 太宰治 「酒ぎらい」
・・・それで、こういう罪過の行われるところでは大概教師の方が主な咎を蒙らなければならない。学級の出来栄えは教師の能力の尺度になる。一体学級の出来栄えには自ずから一定の平均値があってその上下に若干の出入りがある。その平均が得られれば、それでかなり結・・・ 寺田寅彦 「アインシュタインの教育観」
・・・で狐の生徒は一学級ずつだんだん教室に入ったらしいのです。 それからしばらくたって、どの教室もしいんとなりました。先生たちの太い声が聞えて来ました。「さあではご案内を致しましょう。」狐の校長さんは賢そうに口を尖らして笑いながら椅子から・・・ 宮沢賢治 「茨海小学校」
・・・みんなは学級順に年下の者を前にして腰をかける。大きい角テーブルがあって、そこにアルミニュームの鉢、サジなどがキレイにうんと積み重ねてある。 私たちは、一番年下の級の子供たちの間に挾って坐っている。子供たちがこっちをみる。私たちも子供たち・・・ 宮本百合子 「従妹への手紙」
・・・ だが、ここに微妙な現象が、学級の進むにつれて起って来る。 級の小さい頃は漠然と仲よしで一組になっていた男の子と女の子とが七年生ぐらいになると、一種の発展的分化をおこす。 小学校の退けどき、賑やかな一団にまぎれ込んで歩いて見ると・・・ 宮本百合子 「砂遊場からの同志」
・・・壁新聞は、もう一段こまかくわかれた職場学級内の遠慮ない発言、要求、自己批判の手段として利用されている。だから人は見るだろう、一日の発行部数十数万の『イズヴェスチア』新聞社の正面昇降機の横にまでも、絵入り手書きの『イズヴェスチア』勤労者壁新聞・・・ 宮本百合子 「スモーリヌイに翻る赤旗」
・・・あの男、こないだの遠足の明細書をまだまだ学級経済委員へ出さないのよ。 ――ふーむ。お前注意してやれ。 マトリョーナは黙ってたが、いきなり、ジャガ薯を頬ばりながら、 ――全く我々の親たちは無自覚だ!とうなった。今度はワーニカが・・・ 宮本百合子 「ワーニカとターニャ」
出典:青空文庫