・・・大尉が、いかんいかん、と云って手をふりますと、山烏はピカピカする拳銃を出していきなりずどんと大尉を射殺し、大尉はなめらかな黒い胸を張って倒れかかります。マジエル様と叫びながらまた愕いて眼をさますというあんばいでした。 烏の大尉はこちらで・・・ 宮沢賢治 「烏の北斗七星」
・・・昭和七年五月十五日に永田町の首相官邸で当時の首相であった犬養毅を射殺した一団のテロリスト将校がありました。前年にいわゆる満州事変がおこって日本の陸軍が侵略戦争へさかおとしになってゆく一歩がひらかれたときでした。そのとき、将校にとりまかれた首・・・ 宮本百合子 「ファシズムは生きている」
・・・血の日曜日に、冬宮の前で、皇帝の命令によって、射殺された数千の大衆の写真、シベリアの或る鉱山で、ゼネ・ストに参加した労働者七百人が、殺されて倒れている写真、実にヒシヒシと、プロレタリア・農民の過去の革命的努力が見る者の心にせまって来る。・・・ 宮本百合子 「ロシアの過去を物語る革命博物館を観る」
出典:青空文庫