・・・ あるいは一時巨額の資本を附与せらるるとて、また、ただ幾百万円の金を無利足にして永代貸下ぐるの姿に異ならず。決して帝室の大事と称すべきほどのものに非ず。あるいは今の政府の財政困難にして、帝室費をも増すにいとまあらずといわんか。極度の場合・・・ 福沢諭吉 「学問の独立」
・・・当時の代議士たちは、議会の白い建物の中で、一人のこらず夢のように巨額な軍事予算に賛成の手をあげて来たのであった。 国民経済は全くうちこわされ、各家庭の経済は、ひどいやりくりももうこれぎりという際まで来た。モラトリアムが、インフレ防止の非・・・ 宮本百合子 「現実の必要」
・・・ 五ヵ年計画は三十四億七千六百ルーブリという巨額を、プロレタリア・農民文化の基礎水準向上のために、八歳全国児童就学のために割り出している。就学児童はどの位増大するか? 一九二七年 九九四二千人 一九三三年 一七・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェト同盟の文化的飛躍」
・・・――余談だが、ソヴェトでは、全露作家団体連盟に対しても、作家の技術と生活改善のために人民文化委員会芸術部が巨額な補助予算をもっているよ。画家だって、社会組織が違うから昨今の日本みたいに大小ブルジョアが小遣緊縮しはじめたおかげで閉口するような・・・ 宮本百合子 「ソヴェトの芝居」
・・・が、本を裂かれるので、貸本屋に四十七哥という「巨額の借金」が出来てしまった。ゴーリキイの一年六留の給金は祖父がとっていた。ゴーリキイには金の出どころがない。貸本屋の汗かきで唇の厚い、白っぽい主人は、ゴーリキイの困りはてた云いわけを聞き終ると・・・ 宮本百合子 「マクシム・ゴーリキイの伝記」
出典:青空文庫