・・・ 六 自然の森羅万象がただ四個の座標の幾何学にせんじつめられるという事はあまりに堪え難いさびしさであると嘆じる詩人があるかもしれない。しかしこれは明らかに誤解である。相対性理論がどこまで徹底しても、やっぱり花は笑・・・ 寺田寅彦 「相対性原理側面観」
・・・空間の概念を拡張したものだという事は疑いもない事である。力学はつまり幾何学の拡張である。空間座標のほかに時を入れれば運動学が成立し、これに質量を入れて経験の結果を導入すれば力学ができる。これらの数学的の式における時間tが空間 x y z と・・・ 寺田寅彦 「時の観念とエントロピーならびにプロバビリティ」
・・・私のいわゆる全機的世界の諸断面の具象性を決定するに必要な座標としての時の指定と同時にまた空間の標示として役立つものがこのいわゆる季題であると思われる。もちろん短歌の中には無季題のものも決して少なくはないのであるが、一首一首として見ないで、一・・・ 寺田寅彦 「日本人の自然観」
・・・人情と義理と利害をXYZの座標とする空間に描きだされた複雑極まりない曲面の集合の一つの切り口が見える。これをじっと眺めていると、面白くもあれば恐ろしくもある。」 何かというとすぐに「XYZの座標」を持ちだすのが彼の一つの癖である。これさ・・・ 寺田寅彦 「年賀状」
・・・今もしこの三つの能力が測定の可能な量であると仮定すれば、LSKの三つのものを座標として、三次元の八分一空間を考え、その空間の中の種々の領域に種々の科学者を配当する事ができるであろう。 ヘルムホルツや、ケルヴィンやレイノルズのごときはLS・・・ 寺田寅彦 「ルクレチウスと科学」
出典:青空文庫