・・・最もよいと思う人間の生活を創る為なのだから、彼女の理性は、更に大きな要求、子と彼女自身、又良人の希願だと思われた家庭への復帰を認めたのでした。 新しく落付こうとする家庭生活の裡に、ロザリーは、熱心に自分を打ち込もうとしました。すてた仕事・・・ 宮本百合子 「「母の膝の上に」(紹介並短評)」
・・・そして、文学の面では或る意味で従来はそのものとしては否定されて来た小市民的な要素、言い古された形でのインテリゲンツィア性を文学作品の内容、表現に復帰させ得るきっかけのように、一部の紹介者によって説明された。これには内部的なまた外部的な諸事情・・・ 宮本百合子 「ヒューマニズムへの道」
・・・「かかる官府の豹変は平安盛時への復帰とも解釈されるし、また政府の思想的一角が今日、俄かに欧化した」とも云い得るかのようであるが、実際には帝国芸術院が出来ると一緒に忽ち養老院、廃兵院という下馬評が常識のために根をすえてしまった。「新日本文化の・・・ 宮本百合子 「矛盾の一形態としての諸文化組織」
・・・政府は「しかし復員軍人は旧職場に帰れるし、女子労働者の大部分は家庭に復帰するのであるから実際の失業者というものは四百三十万ぐらいのものである」といっている。私達はこの数字を心に留めて、さて昭和七、八年の世界恐慌の時に世界の失業者はどうであっ・・・ 宮本百合子 「私たちの建設」
出典:青空文庫