・・・遠い恒星の光が太陽の近くを通過する際に、それが重力の場の影響のために極めてわずか曲るだろうという、誰も思いもかけなかった事実を、彼の理論の必然の結果として鉛筆のさきで割り出し、それを予言した。それが云わば敵国の英国の学者の日蝕観測の結果から・・・ 寺田寅彦 「アインシュタイン」
・・・例えば比較的最も著しい月の影響でも目方の変りは百万分の一を超えることはない。恒星はその数においては甚だ多いが、その距離の莫大なのみならずまたその引力の方向が区々であるために総和は幾何学的の和である。仮りに恒星の全質量が天球上に一様に分布され・・・ 寺田寅彦 「方則について」
・・・火星は惑星ですね、ところがあいつは立派な恒星なんです。」「惑星、恒星ってどういうんですの。」「惑星というのはですね、自分で光らないやつです。つまりほかから光を受けてやっと光るように見えるんです。恒星の方は自分で光るやつなんです。お日・・・ 宮沢賢治 「土神ときつね」
出典:青空文庫