・・・主題が緊張しているばかりでなく、云いたいことを云わせられず、書きたいようにかかされない、その手枷、口枷のなかで、もがいたり呻いたりしている作品である。しかし、作者とすれば、段々戦争が進行して来て野蛮なファシズムの圧力が文学を殺そうとすればす・・・ 宮本百合子 「あとがき(『宮本百合子選集』第四巻)」
・・・革命博物館には、種々様々の革命的文献の他に帝政時代、政治犯が幽閉されていた城塞牢獄の監房の模型が、当時つかわれた拷問道具、手枷足枷などをつかって出来ている。茶っぽい粗布の獄衣を着せられた活人形がその中で、獣のような抑圧と闘いながら読書してい・・・ 宮本百合子 「刻々」
・・・それでそれを拘束する手枷・足枷みたいなもの、それを探していると、はからずも芝居にぶつかったのです。つまり芝居は、どうにも仕方のない形式上の拘束というものをもっている。それを衝いて行けば、何か自分の情熱を形式で拘束して、掻き立ててゆくのに非常・・・ 宮本百合子 「人間性・政治・文学(1)」
・・・鉄の手枷足枷まではめたレーニンが、一八九五年にまだ大学生で政治犯としてシベリアに送られた時の人相書がある。よんで見ると、仲々面白い。こんなことが書いてある。「背低シ。眼ハ大キクハナイガ非常に特色ガアル。言葉ハ叮嚀ダ。手色白シ。議論ニ熱中シタ・・・ 宮本百合子 「ロシアの過去を物語る革命博物館を観る」
出典:青空文庫