・・・と、法廷で揚言した二十六歳の処女シャロット・コルデーは、処刑にのぞんで書をその父によせ、明白にこの意をさけんでいる。いわく「死刑台は恥辱にあらず。恥辱なるは罪悪のみ」と。 死刑が極悪・重罪の人を目的としたのは、もとよりである。したがって・・・ 幸徳秋水 「死刑の前」
・・・と法廷に揚言せる二十六歳の処女シャロット・ゴルデーは、処刑に臨みて書を其父に寄せ、明日(に此意を叫んで居る、曰く「死刑台は恥辱にあらず、、恥辱なるは罪悪のみ」と。 死刑が極悪・重罪の人を目的としたのは固よりである、従って古来多くの恥ずべ・・・ 幸徳秋水 「死生」
・・・文明の士人心匠巧みにして、自家の便利のためには、時に文林儒流の磊落を学び、軽躁浮薄、法外なる不品行を犯しながら、君子は細行を顧みずなど揚言して、以てその不品行を瞞着するの口実に用いんとする者なきにあらず。けだし支那流にいう磊落とはいかなる意・・・ 福沢諭吉 「日本男子論」
出典:青空文庫