・・・十年前に出現した新星の光が今ようやく地球に届いたようなものである。 それほどに科学者の世界は世間を離れている。しかしそのおかげで学者は心静かに落着いて各自の研究に没頭していられるのかもしれない。 近頃かの地でボーアに会って帰って来た・・・ 寺田寅彦 「雑記(1[#「1」はローマ数字、1-13-21])」
・・・ 四 新星 毎年夏になってそろそろ夕方の風が恋しい頃になると、物置にしまってある竹製の涼み台が中庭へ持ち出される。これが持ち出される日は、私の単調な一年中の生活に一つの著しい区切りを付ける重要な日になっている。もう・・・ 寺田寅彦 「小さな出来事」
・・・天文関係の人が寄ったときにその頃発見された新星ノヴァ・ペルセイの話が出た。新星と豊国がその時から結合した。磁力測量に使う磁石棒の長さをミクロンまで精密に測ろうとして骨折った頃にもよく豊国の牛肉を食った。磁石と豊国とがその時から結合した。・・・ 寺田寅彦 「病院風景」
「デカブリストの妻」ネクラーソフ作谷耕平訳 新星社 最近深い感銘をもってよみました。特に公爵夫人ヴォルコーンスカヤをよんで、途中で巻をおくことが出来ませんでした。日本の詩人たちは詩のこのような力についてどんな感想をもたれ・・・ 宮本百合子 「私は何を読むか」
出典:青空文庫