・・・ましてそれは早期の童貞喪失を伴いやすく、女性を弄ぶ習癖となり、人生一般を順直に見ることのできない、不幸な偏執となる恐れがあるのである。 学生時代に女性侮蔑のリアリズムを衒うが如きは、鋭敏に似て実は上すべりであり、決して大成する所以ではな・・・ 倉田百三 「学生と生活」
・・・工場の衛生問題、早期発見などということは関心をもたれなかった。紡績工場の生活がその労働や懲罰の方法、寄宿舎生活の内容において、どんなに非人道なものであったかということは、「日本の紡績女工のひどさは実に言語道断です」と、明治四十年代に、桑田熊・・・ 宮本百合子 「衣服と婦人の生活」
・・・詩人らしいということは、線が細いと同義語のようにつかわれ、いくらか鋭い感受性といささかの主観のつよさと、早期の枯凋とを意味するとしたら、それは人間としてくちおしいことだと思う。 習俗のつよい圧力は、女が詩をつくる心をもって生れたという一・・・ 宮本百合子 「『静かなる愛』と『諸国の天女』」
出典:青空文庫