・・・やっとその実現が見られるきょう、男女学生のアルバイト率はどうだろう。月謝の値上げはどうだろう。PTAの物品交換会で、数十万円の禁制品が没収されたという新聞記事は、心ある親たちと教師に、どんな感銘を与えたろう。 二・・・ 宮本百合子 「偽りのない文化を」
・・・ 一九二七年 九九四二千人 一九三三年 一七〇〇〇千人 殆ど倍の千七百万という児童が、ソヴェト同盟では無月謝で、学用品、弁当まで国家の支給で勉強することが出来るのだ! それには教師が殖えなければならぬ。 現・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェト同盟の文化的飛躍」
・・・昼間勤めている夜の学校の学生は、月給の全部を自分だけで使ってしまっているという方が寧ろ珍しいであろう。月謝のためだけに昼間勤めてはいないのであろうと思う。市民税を納めることに、勤労市民の一人としての誇りを感じようとする心は、上級学校への道の・・・ 宮本百合子 「今日の耳目」
・・・ 今議会ですべての公定価格を七割値上げした政府は官立専門学校大学の月謝を三倍の値上げに決定した。月謝値上げはアルバイトによってやっと学問をつづけているこんにちの日本の学生にとっては、学問の自由をうばわれることにひとしい。男女学生は月謝値・・・ 宮本百合子 「今日の日本の文化問題」
・・・例えばヴァイオリンの有名な教師モギレフスキイの一ヵ月の月謝は四十円である。四十円のためには大の男が一ヵ月間の勤労を代償とさせられるのが今日の現実ではなかろうか。 世界的な経済恐慌は、この地球の上六分の一を除いたあらゆる国々において、健康・・・ 宮本百合子 「昨今の話題を」
・・・学問がやってゆけないほどの月謝ねあげに反対しないで、どこに「教育をうけるべき」学生の本分の主張があるだろう。「放送の自由をまもり健全な発達を目的とする」放送法案が六月十八日に提出された。これまでの放送協会の仕事ぶりには、いろいろの批判が加え・・・ 宮本百合子 「三年たった今日」
・・・九年制にしてどの子供もその間は勉強出来るように国庫がその保証をしてやらなければこのインフレーションの中で月謝を払い御飯を食べさせ学用品を買ってやるということは益々貧困化して来ている親の多数にとって負担である。 文部省にこの実状がわかって・・・ 宮本百合子 「女性の歴史」
・・・だから小学校は勿論専門学校も月謝を払わないで、職業組合が補助を与えて勉強させる。だから労働者の子供、農民の子供は第一列に入学させてもらえて、生活費を或る程度まで保証される場合があるから、若い人間は勿論喜ぶ。よくソヴェトの教育方針では個性の発・・・ 宮本百合子 「ソヴェト・ロシアの素顔」
一 藍子のところへ尾世川が来て月謝の前借りをして行った。尾世川は藍子のドイツ語の教師であった。箇人教授をしているのだが、藍子の他に彼に弟子は無く、またあったとしても無くなるのが当然な程、彼はずぼらな男・・・ 宮本百合子 「帆」
出典:青空文庫