・・・皇の時代の地震で、土地五十万頃が陥落して海となったという記録があり、それからずっと後には慶長九年と宝永四年ならびに安政元年とこの三回の大地震が知られており、このうちで、後の二回には、海浜の地帯に隆起や沈降のあった事が知られている。さて、これ・・・ 寺田寅彦 「怪異考」
・・・河流が完成して後に一体の地盤が沈降したのではないかと疑われる。これは地形学者の説を聞いてみなければ分らない。 平泉の旧跡はなるほど景勝の地である。都市というものの発達するに恰好な条件を具えていて、しかもそれが極めて小規模な地形であるのは・・・ 寺田寅彦 「札幌まで」
・・・東京では先頃深川の埋立区域に府庁を建設するという案を立てたようであるが、あの地帯は著しい颱風の際には海嘯に襲われやすい処で、その上に年々に著しい土地の沈降を示している区域である。それにかかわらずそういう計画をたてるというのは現代の為政の要路・・・ 寺田寅彦 「颱風雑俎」
出典:青空文庫