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・・・扇谷家第一の猛者小幡東良が能登守教経然たる働きをするほかは、里見勢も上杉勢も根ッから動いていない。定正がアッチへ逃げたりコッチへ逃げたりするのも曹操が周瑜に追われては孔明の智なきを笑うたびに伏兵が起る如き巧妙な作才が無い。軍記物語の作者とし・・・
内田魯庵
「八犬伝談余」
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・・・青年学生がそれに耐え得るほど強く、人生の猛者であり、損害と不幸とを顧みずして運命を愛する真の生活者でありたいならば、私はこの保身と幸福にはまるで不便な、「恋愛運命論」によって、その恋愛を指導することを勧めたい。 われわれはちょうどわれわ・・・
倉田百三
「学生と生活」