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・・・ただ何とも言えない神気が、ただちに心に迫って来るのです。――ちょうど龍翔の看はあっても、人や剣が我々に見えないのと同じことですよ」 それから一月ばかりの後、そろそろ春風が動きだしたのを潮に、私は独り南方へ、旅をすることになりました。そこ・・・
芥川竜之介
「秋山図」
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・・・其題に曰く学術技科の進闡せしをば人の心術風俗に於て益有りしと為す乎将た害ありしと為す乎とルーソー之を読みて神気俄に旺盛し、意思頓に激揚し自ら肺腸の一変して別人と成りしを覚え、殆ど飛游して新世界に跳入せしが如し。因て急に鉛筆を執りファプリシュ・・・
幸徳秋水
「文士としての兆民先生」