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・・・そしてドイツ自身も第一にチリ硝石の供給が断えて困るのを、空気の中の窒素を採って来てどしどし火薬を作り出したあざやかな手ぎわをも思い出した。 そして、どうしてもやはり、家庭でも国民でも「自分のうちの井戸」がなくては安心ができないという結論・・・
寺田寅彦
「断水の日」
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・・・その名刺を見ると、それはN国のK大学教授で空中窒素の固定や北光の研究者として有名な物理学者のB教授であった。同教授にはかつてその本国で会ったことがあるばかりでなく、その実験室で北光に関する有名な真空放電の実験を見せてもらったり、その上に私邸・・・
寺田寅彦
「B教授の死」