・・・A君は、ただちに同志を糾合して、ストライキを計った。全学級の大騒ぎになった。私は、恐怖のためにわなわな震えていた。ストライキになりかけたとき、その教師が、私たちの教室にこっそりやって来て、どもりながら陳謝した。ストライキは、とりやめとなった・・・ 太宰治 「酒ぎらい」
・・・「いなくなると、いっそう薄気味が悪いからさ、僕に隠れて、ひそかに同志を糾合しているのかもわからない。あいつは、僕に軽蔑されていることを知っているんだ。復讐心が強いそうだからなあ、犬は」 いまこそ絶好の機会であると思っていた。この犬を・・・ 太宰治 「畜犬談」
・・・ 当時決死の士を糾合して北海の一隅に苦戦を戦い、北風競わずしてついに降参したるは是非なき次第なれども、脱走の諸士は最初より氏を首領としてこれを恃み、氏の為めに苦戦し氏の為めに戦死したるに、首領にして降参とあれば、たとい同意の者あるも、不・・・ 福沢諭吉 「瘠我慢の説」
・・・「国際局は戦争の危険に対してソヴェト同盟を××というスローガンの下に、すべての××的読者を糾合する大きな仕事を行った。国際局が、ソヴェト共和国に対する戦争勃発の際文学者は如何なる態度をとるべきかについて、世界の著名な作家の間から集めた意・・・ 宮本百合子 「ニッポン三週間」
・・・もし愛国婦人会や矯風会が本当にそういう事を防止するために一般婦人の力を糾合するのであるなら、それらの婦人に先ず第一、小作制度の本質をつきとめさせ、農民の負うている負債の性質について実際を理解させなければならないのであろう。そのような根本的な・・・ 宮本百合子 「村からの娘」
出典:青空文庫