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・・・幽玄も、余情も、さびも、しおりも、細みもこの弦線の微妙な振動によって発生する音色にほかならないのである。古人が曲輪の内より取り合わせるか、外よりするかということを問題にしているのはやはりここの問題に関したものであると思われる。また付け合わせ・・・
寺田寅彦
「俳諧の本質的概論」
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・・・その寂といい、雅といい、幽玄といい、細みといい、もって美の極となすもの、ことごとく消極的ならざるはなし。ゆえに俳句を学ぶ者消極的美を唯一の美としてこれを尚び、艶麗なるもの、活溌なるもの、奇警なるものを見ればすなわちもって邪道となし卑俗となす・・・
正岡子規
「俳人蕪村」