・・・決着ありたけの執心をかきむしられ何の小春が、必ずと畳みかけてぬしからそもじへ口移しの酒が媒妁それなりけりの寝乱れ髪を口さがないが習いの土地なれば小春はお染の母を学んで風呂のあがり場から早くも聞き伝えた緊急動議あなたはやと千古不変万世不朽の胸・・・ 斎藤緑雨 「かくれんぼ」
・・・ しかし、また、実際、特別緊急な捜しものをする場合には、心にこだわりがあって、自由な観察と認識の能力がいくぶん減退しているためもたしかにいくぶんかはあるらしい。 これとはまた少し趣のちがった「捜すものは無い」場合がある。 大きな・・・ 寺田寅彦 「錯覚数題」
・・・世人の改新を促して自から謹ましめ以て国の体面を清潔にするは、何は扨置き目下の緊急事なりとて、いよ/\宿論発表の時機到来を認め、昨年八月中より遽に筆を執り、僅々三十日足らずの間に稿を脱したる次第なりと言う。左れば女大学評論及び新女大学の二篇は・・・ 福沢諭吉 「新女大学」
・・・婦人の労働問題の合理的な解決が必要である一方に、食糧事情の民主的解決が緊急事となって来ている。 そのために、各種の現存の機構、組合にしろ、購買組合にしろ、それはどのように運営される可能があるか。私たちは改めてこのことについて学びたいと思・・・ 宮本百合子 「合図の旗」
・・・捜査のすすむにつれて三鷹の組合の副委員長をしている石井万治という人は嫌疑をかけられている書記長の自宅を訪問し、他所へつれて行って饗応し、ノートをひらいて、緊急秘密指令三百十一号、三百十八号というものをみせ、あなたのことについては骨を折るとい・・・ 宮本百合子 「新しい抵抗について」
・・・階級的自覚のある労働者たちが今や目前に見ているのは、たとえばこのソヴェト同盟の生産技術をどうして向上さすべきかという緊急問題である。 ソヴェトの作家たちは、ボツボツこんな批評を一般読者からきくようになった。「どうも大して面白い小説も・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェトの芸術」
・・・でも緊急になくて困っていた人があって、いくらでも買えたあの頃の私達の気持では、蔵っておいて虫に喰われるよりは、と思ってのことですからどうぞ悪しからず。 赤ん坊の名前はまだきまりません。セカンドジョンの話しを聞かせたら誰れも知りませんでし・・・ 宮本百合子 「獄中への手紙」
・・・美術的国宝を社寺とひきはなすことも緊急である。〔一九四九年三月〕 宮本百合子 「国宝」
・・・について新しく大きい見かたが緊急に必要ではないかという点とが、かみ合わされていない。勤労者文学対策の強化、作品指導キカンの設置、講座、学校、入門書の発行、などがあげられているだけで、きょうの段階では、どうしても「勤労者文学」という規定そのも・・・ 宮本百合子 「その柵は必要か」
・・・国際プロレタリアートの観点に立って今日の情勢を分析し、そこからプロレタリアートの課題を導き出し、革命的任務を遂行するためには、それを妨害するあらゆる小ブルジョア的日和見主義と闘い、それを克服することを緊急事とした。特にこの点における同志小林・・・ 宮本百合子 「同志小林の業績の評価に寄せて」
出典:青空文庫