・・・ かなり美くしいどころではなく残った雪といろいろな雲とによって美妙な美くしさを持って居るのだ。 三分の一ほどの上は白いフワフワ雲にかくれて現われた部分は銀と紺青との二色に大別されて居る。 けれ共ジーッと見て居るとその中に限りない・・・ 宮本百合子 「旅へ出て」
・・・が発表される前後に、山田美妙斎による言文一致の運動が擡頭した。これは、漢文読下し風な当時の官用語と、形式化した旧来の雅語との絆を脱して、自由に、平易に、動的に内心を芸術の上に吐露しようという欲求の発露であった。 ところが、二葉亭四迷の芸・・・ 宮本百合子 「文学における今日の日本的なるもの」
私が見境いなくものを読みたがり出した頃は、山田美妙の作品など顧られない時代になって居た。一つも読んだことはないが、感情の表現を大体音声や言葉づかいの上に誇張して示したらしい。雲中語の評者たちから、散々ひやかされて居るが、同・・・ 宮本百合子 「無題(六)」
出典:青空文庫