胸に当たる
思い当たる。心に強く感じる。「夜中に魑魅魍魎 (ちみもうりょう) に魘 (おそ) われたのも、思い出して、私は犇々 (ひしひし) と—・った」〈鏡花・高野聖〉
胸に余る
思いが積もりに積もってあふれるばかりになる。また、悩みすぎて心の整理や判断ができなくなる。「云い度き事は—・れば、互に出来るだけ歩 (あし) を緩めて」〈小杉天外・魔風恋風〉
胸に一物
口には出さないが心の中にたくらみを抱くこと。「—ありそうな面 (つら) 構え」
胸に浮かぶ
心に思い浮かぶ。ふと思いつく。「—・んだままを文章にする」
胸に描く
想像してみる。思い浮かべる。「未来を—・く」
胸に納める
心の中に秘めて、口に出さない。胸に畳む。「事の真相を—・める」
胸に聞く
心の中でよく考える。「そのわけは自分の—・いてみたらいい」
胸に刻む
心にしっかりとどめる。「母の面影を—・む」
胸に釘を打つ
急所をつかれて心を痛める。「小路隠れの家出のと聞く度ごとに、この伯母が胸には釘を打つ如く」〈浄・卯月の紅葉〉
胸に応える
心に強く感じる。痛切な思いが残る。胸にひびく。「何気ない一言が—・えた」