・・・ 日本文化を守る会が結成されたこと、このように広汎な全日本にわたって男女学生の自主的文化学問への要求が表明されていること、また各方面に日本の軍国主義とファシズムの再燃にたいしてたたかい、平和の擁護のために働こうとする人々のグループが結成・・・ 宮本百合子 「今日の日本の文化問題」
・・・が農民の書いた小説でないことはもちろん、農村を描いたものでもなく、農村インテリゲンチア、いわば木村のもので、性格を描くことを目ざした作品であるという意見を表明していられるのである。 個々の作品は常にその積極的な成果と作者の力量に応じての・・・ 宮本百合子 「作家への課題」
・・・そのことについては彼自身率直に表明している。「……さらに私は自己の無識を感じており、そして日に増し強く感じている。政治、経済、財政上の諸問題は、私が敢て足を踏みいれることに危惧の念を抱かざるを得ぬ分野に属する」これは、ジイドにとって、コンゴ・・・ 宮本百合子 「ジイドとそのソヴェト旅行記」
・・・となった人々への哀悼、遺族への慰問の責任を表明した。けれども、当時あの新聞をよんだ一般市民は、阿佐操縦士の妹きくえさんの言葉をどう受けとっただろう。きくえさんは、涙に頬を濡して、「無電がついていなかったんでしょうか。無電があったら、兄は決し・・・ 宮本百合子 「市民の生活と科学」
・・・ 現代文学のこれまでの動きの様々の時期をかえりみると、それ等の文学的エポークには、それぞれに動いた作家が、自身の動きの激しさと性格とを作品に出して先ずそこで動きがおのずから表明されて来ていた。ネオ・ロマンティシズムという名は、谷崎潤一郎・・・ 宮本百合子 「昭和十五年度の文学様相」
・・・を掘り出すことを職務として表明したのであった。しかしながら彼の云う人間の全存在、或は宿命とは、その実質に何を指しているものであったろうか。芸術は人間的血肉の所産でなければならないという普遍性は、彼を待つ迄もなく古き一般論の土台である。彼の「・・・ 宮本百合子 「昭和の十四年間」
・・・ 転向を表明した人々の公判が分離して行われ、大泉兼蔵の公判も行われた。当時傍聴席は、司法関係者と特高だけで占められていた。家族として傍聴する者さえ殆どなかった。たまに誰か来ると、特高は威脅的にその人にいろいろ訊いたし、私のように関係の知・・・ 宮本百合子 「信義について」
・・・ 喜多氏は、常に独特な物言いの人であるけれども、あのように一般の関心がその見解に集注されている場合、学生を呼んで叱りとばした、というような素朴な態度が表明されると、国民生活の指導部長という責任の大きな肩書に比べて、私たちは極めて頼りない・・・ 宮本百合子 「「健やかさ」とは」
・・・ところが、ではそれは結婚に到るものかと訊ねたとすると、恐らく全部の人が些か困惑し、或は問うまでもないこととして、結婚は思っていない意志を表明するであろう。これは何故だろうか。 少年の感情の世界にひそかな駭きをもって女性というものが現れた・・・ 宮本百合子 「成長意慾としての恋愛」
・・・よく世間には自分が希望して生まれたのではない、ということから、自分の生存の偶然性を云って、自分の生きてゆく時代のその国の歴史や世界の歴史に対して、自分なんか責任はないという気持を表明するひとがある。そういう考えかたは人間の生活の真の美しさ、・・・ 宮本百合子 「世代の価値」
出典:青空文庫