・・・神と悪魔とに緊張せしめる、○ドストイェフスキーは決して規範を求めず、ただ充実をもつのみである。○彼は運命の情熱的賭博においては賭物として遺憾なきまでに自らを投げ出すのである、なぜなら彼は赤と黒、死と生との流転の中にのみ酩酊の快さで自・・・ 宮本百合子 「ツワイク「三人の巨匠」」
・・・ かかる意味において、われらは同志小林の闘争の生涯がボルシェビキ的強情さによって貫徹され、高き規範を示したことに無限の敬意を捧げるのである。同志小林が身を挺して確保した革命的到達点を、理論、創作、組織的全活動の分野において更に推進させ、・・・ 宮本百合子 「同志小林の業績の評価に寄せて」
・・・フランス散文の規範のようなメリメは異国趣味でロマンティックな題材と情熱とを、厳しく選択して理性的に配置した文章の鮮明な簡勁な輪廓の中にうちこんでいる。メリメの作品の力と欠点とは整然とした描写の統制の中にある。 バルザックの文章は、書かれ・・・ 宮本百合子 「バルザックに対する評価」
・・・ところでかくてこそ人類の正しく幸福な愛は成就される、かくてこそ真の結婚として祝されるべきものだという規範、理想が、まるで彼等の自ら持つ事実とは正反対の形態、内容をとって続々と現れて来る。 時代によらず、周囲によらず、彼等の愛によって結合・・・ 宮本百合子 「深く静に各自の路を見出せ」
・・・困難は、それらが今も尚われらに芸術的享楽を与え、且つ或る点では規範として又及び難い模範として通るのを何と解するかにある」だけについて見ても、ここで新しき文化の開花のための最も重要な鍵は、最後の一行、「及び難い模範として通るのを何と解する・・・ 宮本百合子 「文芸時評」
・・・等の内面的旋律までを考えて日本古来の詩形を不朽な規範と考える態度に対して筆者の行っている理論的究明も、今日の現実の錯綜の中にあっては、結局萩原氏の詩論の心的・社会的因子にまでふれないと、読者にはぴったりと来ない。「新日本文化の会」のメムバー・・・ 宮本百合子 「ペンクラブのパリ大会」
出典:青空文庫