・・・それらは、人類の発展に貢献したことから考えて是認さるべきである。で、プロレタリアートは、現在の戦争に対しても、それが、吾々を解放へ導くものであるか、或は、吾々をなお圧迫するものであるか、その歴史的特殊性を分析することが必要である。 フラ・・・ 黒島伝治 「反戦文学論」
・・・明治年代の文学を回顧すると民友社というものは、大きな貢献をした事は事実であるし、蘆花、独歩、湖処子の諸君の仕事も、民友社という事からは離しては考えられない。遠くから望むと一群の林のような観をなしていたが、民友社にも種々異った意見を持った人が・・・ 島崎藤村 「北村透谷の短き一生」
・・・こんな形で普通道徳に貢献する場合がある。私も正しくその通りのことをしている。しかしこればかりでは地球がいやでも西から東に転ずるのと少しも違ったところはない、徹した心持がない、生きていない、不満足である。そこでいろいろ考えて見ると、どうもやは・・・ 島村抱月 「序に代えて人生観上の自然主義を論ず」
・・・一のプロレタリアアトへの貢献と、九のブルジョアジイへの貢献と君は言ったが、何を指してブルジョアジイへの貢献と言うのだろう。わざわざ資本家の懐を肥してやる点では、僕たちだってプロレタリアアトだって同じことなんだ。資本主義的経済社会に住んでいる・・・ 太宰治 「葉」
・・・するとベルリン大学に居る屈指の諸大家は、一方アインシュタインをなだめると同時に、連名で新聞へ弁明書を出し、彼に対する攻撃の不当な事を正し、彼の科学的貢献の偉大な事を保証した。またアインシュタインは進まなかったらしいのを、すすめて自身の弁明書・・・ 寺田寅彦 「アインシュタイン」
・・・どうしても古代に溯りたいなら、せめてサイラスやアルタセルキセスなどは節約して、文化に貢献したアルキメーデス、プトレモイス、ヘロン、アポロニウスの事でも少し話してもらいたい。全課程を冒険者や流血者の行列にしないために発明家や発見家も入れてもら・・・ 寺田寅彦 「アインシュタインの教育観」
・・・そういう人は人の仕事をくさしながらも自分で何かしら仕事をして、そうして学界にいくぶんの貢献をする。しかしもういっそう頭がよくて、自分の仕事のあらも見えるという人がある。そういう人になると、どこまで研究しても結末がつかない。それで結局研究の結・・・ 寺田寅彦 「科学者とあたま」
・・・ そういうことから考えても、科学者が科学者として文学に貢献しうるために選ぶべき一つの最も適当なる形式はいわゆるエッセーまた随筆の類であろうと思われる。 随筆と科学 科学が文学と握手すべき領域は随筆文学、エッセー文・・・ 寺田寅彦 「科学と文学」
・・・いい場合は、学問の本山であるところの西洋の第一流の大家達の統括の下に開拓され発達させられた一つの明確な区劃内に限られた部門の中で、かの地の誰やかれが既にかなりまでつつき廻した問題の一方面に若干の確実な貢献をしたというような種類の仕事が学位論・・・ 寺田寅彦 「学位について」
・・・けれどもわれらは社会に対する栄誉の貢献によってのみ傑出すべきである。傑出を要求するの最上権利は、凡ての時において、われらの人物如何とわれらの仕事如何によってのみ決せらるべきである。 先生のこの主義を実行している事は、先生の日常生活を別に・・・ 夏目漱石 「博士問題とマードック先生と余」
出典:青空文庫