・・・ 工場に働くプロレタリアートと地主の野良を耕す貧農にとって、暮らしの辛いこととブルジョアと地主とにしぼられることは、男も女も全く同じだったのです。 それを、では何故ブルジョア・地主のロシアでは、勤労者まで女を一段低いものと思っていた・・・ 宮本百合子 「ソヴェト同盟の婦人と選挙」
・・・農村の集団化を扱ったドラマでは中農の息子と貧農の息子との階級的対立が、大きい社会的背景の前に非常によく写されていた。こう云う主題はこなすのが仲々難かしい。五ヵ年計画と共に幾つかその種の脚本が書かれた。例えばカターエフが「前衛」を書いて、それ・・・ 宮本百合子 「ソヴェト「劇場労働青年」」
・・・アメリカのオクラホマ州の貧農の家に生れ、後コロラドの鉱山町にうつり、非常な貧困と闘って苦学し、遂に急進的なジャーナリストとして活動するに至るまでのアグネスの生活が、大胆に描き出されているのであるが、一人の女によって書かれているこの一冊の本が・・・ 宮本百合子 「中国に於ける二人のアメリカ婦人」
・・・ 貧農の息子、搾取と抑圧をうける若い下級銀行員として同志小林は、ごく初期の作品においてさえ、大衆の苦悩とその社会的根源をあばかんとする方向を示している。「一九二八年三月十五日」は三・一五当時における敵階級の野蛮な白テロを曝露するとと・・・ 宮本百合子 「同志小林の業績の評価に寄せて」
・・・だが文化のこととして、こういう科学と文学との健全に綜合された才能の発育の可能がどこからこの貧農の子に与えられたのだろうかと考えると、そこには文化上やはり並々でない分化と綜合の動的関係の在る社会が思い描かれるのではないだろうか。 文化の各・・・ 宮本百合子 「文学のひろがり」
・・・ロシアには一千万の労働者と、その二倍の貧農が発生しつつあった。ロマーシとゴーリキイのまわりに親密な感情をもって集ったのは、クラスノヴィードヴォの村での、そういう貧農たちと、進歩的な、中農なのであった。 村での実際の生活とその観察とは、ゴ・・・ 宮本百合子 「マクシム・ゴーリキイの伝記」
・・・だがしかし、今年のメーデーは特に労働婦人、貧農婦人、そして一切の搾取され圧迫されている婦人にとって、大きな意義を持っているということを時日の切迫した今日更めて強く心に入れ、その意義がどうすれば生活の上に生きるかを知り、その事を実行しなければ・・・ 宮本百合子 「メーデーに備えろ」
・・・ 農村で、青年・貧農・中農たちが現実に有利な集団農場を組織しようとする。農村ブルジョアの富農は反対で、窓ガラス越しに鉄砲をブチ込み積極的な青年を殺したりした。坊主をおふせで食わせ飲ますのは富農だ。坊主と富農は互に十字架につらまって、農村・・・ 宮本百合子 「モスクワの姿」
・・・ 農村での生活がたち行く家庭で若い人々の負う荷はそのような形だが、貧農の娘や息子の青春は、どんな目にふみにじられていることであろう。政府は東北局というものを新しくつくらなければならない程度に、日本の農村は貧困化している。売られて都会に来・・・ 宮本百合子 「若き世代への恋愛論」
出典:青空文庫