・・・西川は今は鳥取の農林学校か何かの教授をしている。僕はそののちも秀才と呼ばれる何人かの人々に接してきた。が、僕を驚かせた最初の秀才は西川だった。 三九 西川英次郎 西川は渾名をライオンと言った。それは顔がどことなしにラ・・・ 芥川竜之介 「追憶」
・・・それでも、彼と同じ年恰好の者のうちでは、誰れにも負けず、物事をよく知っていた。農林学校を出た者よりも。それが、僕をして、兄を尊敬さすのに十分だった。虹吉は、健康に、団栗林の中の一本の黒松のように、すく/\と生い育っていた。彼は、一人前の男と・・・ 黒島伝治 「浮動する地価」
・・・「おれは内地の農林学校の助手だよ、だから標本を集めに来たんだい。」私はだんだん雲の消えて青ぞらの出て来る空を見ながら、威張ってそう云いましたらもうその風は海の青い暗い波の上に行っていていまの返事も聞かないようあとからあとから別の風が来て・・・ 宮沢賢治 「サガレンと八月」
・・・への具体的な答えには、農林大臣が米の専売案を語り、それと全く反対に農林省の下級官吏は結束して大会をもち、食糧の人民管理を要求し、戦争犯罪人糺弾の人民投票をやっているという今日の事実さえも、包括されなければならないのである。責任を問うための警・・・ 宮本百合子 「石を投ぐるもの」
・・・へ農林大臣が食事に行ったという例があったでしょうか。同じ「公」という字でも、それに「衆」という字がついて公衆となると、それは却って一段と低くなった感じで扱われて来ました。 今日のように、日本が民主主義の国になろうとして、新しい出発を・・・ 宮本百合子 「公のことと私のこと」
・・・ 農林大臣は無策の極、米の専売を考えているという発表をしている。あの記事を尤もと思ってよんだ人民は恐らく一人もないであろう。「専売」はタバコのことだけでも、政府にとってどんなに御都合まかせの収入の道であるかという点で試験ずみである。まし・・・ 宮本百合子 「女の手帖」
・・・その懇話会賞も制定され、その名の叢書も刊行され、それらの小説集の表紙には時の農林大臣有馬頼寧の写真が帯封の装飾として使われるという前例のない有様を呈した。 近代及び現代の日本文学の中で、農民文学の占めて来た位置とその消長の跡とは、日本の・・・ 宮本百合子 「昭和の十四年間」
・・・殆ど時を同じくして、農林大臣は、米の専売案を語り、農林省の下級官吏たちは大会をもって、食糧の人民管理を主張した。この対照は、新聞をよんだすべての人々に、深い関心をよびさましたと思う。農林省につとめていれば、食糧関係のあらゆる行政の網が分って・・・ 宮本百合子 「人民戦線への一歩」
出典:青空文庫