・・・の崇拝者青野季吉を先頭とする多くの読者たちは、ぴくりともしないであろう。 また、これとは反対に、プロレタリア作家が属す階級とその文学の性質について知りながらも、やはり「紋章」に心ひかれ、その理由を、「紋章」では作者が生産をとりあげようと・・・ 宮本百合子 「一九三四年度におけるブルジョア文学の動向」
・・・ 青野季吉氏が、近頃『文学界』を中心としていわれている政治主義、文学主義の問題にふれて最近書かれている論文の内で、「民衆の真実」から出発するという表現で、自身の拠りどころを語ろうとしていることも様々の感想を刺戟することである。山本有三氏・・・ 宮本百合子 「全体主義への吟味」
・・・一般の読者の中には、現実生活の重苦しさにげんなりした心持をプロレタリア文学の闊達と称せられない有様に結びつけ、その評言を当っているように思い、つづいて昨今青野季吉氏によっていわれている闊達自在論をそれなりによしと感じるひとがあるかも知れない・・・ 宮本百合子 「プロ文学の中間報告」
・・・には前田河広一郎、青野季吉、金子洋文その他が残った。 一九二九年から世界経済恐慌につれて高揚して来た日本の階級闘争の現実に向って、「文戦」の右翼民主主義偏向はごまかしきれなくなって来た。プロレタリアと農民大衆の力に押されて「文戦」の内部・・・ 宮本百合子 「文芸時評」
出典:青空文庫