・・・ 学士会院が栄誉ある多数の学者中より今年はまず木村氏だけを選んで、他は年々順次に表彰するという意を当初から持っているのだと弁解するならば、木村氏を表彰すると同時に、その主意が一般に知れ渡るように取り計うのが学者の用意というものであろう。・・・ 夏目漱石 「学者と名誉」
・・・にあなた方と云うやはり一箇の団体の意識の内容を検して見るとたとえ一カ月に亘ろうが一年に亘ろうが一カ月には一カ月を括るべき炳乎たる意識があり、また一年には一年を纏めるに足る意識があって、それからそれへと順次に消長しているものと私は断定するので・・・ 夏目漱石 「現代日本の開化」
・・・それを一通り調べてもまだ足らぬ所があるので、やはり上代から漕ぎ出して、順次に根気よく人文発展の流を下って来ないと、この突如たる勃興の真髄が納得出来ないという意味から、次に上代以後足利氏に至るまでを第一巻として発表されたものと思われる。そうは・・・ 夏目漱石 「マードック先生の『日本歴史』」
・・・ 明治三十二年九月時事新報記者 識 福沢先生の女学論発表の次第 時事新報の紙上に順次掲載しつゝある福沢先生の女大学評論は、昨日にて既に第五回に及びたり。先生が此論を起草せられたる由来は、序文にも記した・・・ 福沢諭吉 「新女大学」
・・・手帳を出しすばやく何か書きつく、特務曹長に渡す、順次列中に渡る、唱バナナン大将の行進歌合唱「いさおかがやく バナナン軍マルトン原に たむろせど荒さびし山河の すべもなく饑餓の 陣営 日にわたり夜をもこむれ・・・ 宮沢賢治 「饑餓陣営」
・・・ 私は順次、第一の批判からとりあげてそれを正しく自己批判に摂取すると同時に、プロレタリア文学運動全線との関係においてその批判の意を観察して行きたいと思う。 われわれの陣営でどの一つの論文にしろいわゆるケンカを目ざして書かれるというこ・・・ 宮本百合子 「前進のために」
・・・東洋にばかり根を張ったとされる牢のような家族制度、又は、男尊女卑の悪風は、時と云う偉大な裁きてが、順次に枯す根なら枯してくれます。女性の職業的困難がそれ等に関っているばかりであるなら、忍耐さえ知っていれば、自然に解決されると云っても誇張では・・・ 宮本百合子 「「母の膝の上に」(紹介並短評)」
・・・宇平太の嫡子順次は軍学、射術に長じていたが、文化五年に病死した。順次の養子熊喜は実は山野勘左衛門の三男で、合力米二十石を給わり、中小姓を勤め、天保八年に病死した。熊喜の嫡子衛一郎は後四郎右衛門と改名し、玉名郡代を勤め、物頭列にせられた。明治・・・ 森鴎外 「興津弥五右衛門の遺書」
出典:青空文庫