・・・するとその下の地位にいる同僚達は順繰りに昇進してみんな余沢に霑うというような事があるとすると、それはいくらかはこのドラゴイアンの話に似ている。 六 三四四頁には尻尾のある人間の事が出ている。犬の尻尾くらいの大・・・ 寺田寅彦 「マルコポロから」
・・・述のとおり、朝食後新聞も読まずに机にむかうという風で、そして、一つ創作が出来上らないうちに、他のものを書くというような器用なわざはわたしには不可能で、あちこちから三つ四つと一ぺんに頼まれても、一つ一つ順繰りに書き上げてゆくのです。 朝、・・・ 宮本百合子 「身辺打明けの記」
・・・ そうして見ると、銀行仲間を順繰りに呼んでは別れの騒をやって居るのと分るが、そんならそうで、ああ馬鹿放題な事をしずともと思われる。 怒鳴らなけりゃあ二度と此世で会われないと云った人もないだろうのに気の知れないにも法図がある。 こ・・・ 宮本百合子 「二十三番地」
出典:青空文庫