・・・霜に、雪に、長く鎖された上に、風の荒ぶる野に開く所為であろう、花弁が皆堅い。山吹は黄なる貝を刻んだようで、つつじの薄紅は珊瑚に似ていた。 音のない水が、細く、その葉の下、草の中を流れている。それが、潺々として巌に咽んで泣く谿河よりも寂し・・・ 泉鏡花 「七宝の柱」
・・・ おりからひとしきり荒ぶ風は冷を極めて、手足も露わなる婦人の膚を裂きて寸断せんとせり。渠はぶるぶると身を震わせ、鞠のごとくに竦みつつ、「たまりません、もし旦那、どうぞ、後生でございます。しばらくここにお置きあそばしてくださいまし。こ・・・ 泉鏡花 「夜行巡査」
・・・赤平川の鉄橋をわたる頃は、雷さえ加わりたればすさまじさいうばかりなく、おそるおそる行くての方を見るに、空は墨より黒くしていずくに山ありとも日ありとも見えわかず、天地一つに昏くなりて、ただ狂わしき雷、荒ぶる雨、怒れる風の声々の乱れては合い、合・・・ 幸田露伴 「知々夫紀行」
・・・の「アラブル」がLに rabere = to rage に似ていることも事実である。「床屋」が何ゆえに理髪師であるか不思議である。「髪結床」から来たかと思われる。その「床」がわからない。 マレイ語で頭髪を剃るのは chukor ・・・ 寺田寅彦 「言葉の不思議」
・・・そしてパレスタイン労働賃金は、 不熱練 熱練 志.片. 志.片.猶太人 ……4/2―5/2 6/3―8/4アラブ人……1/3―2/1 3/1 交通機関の血圧上昇が・・・ 宮本百合子 「ロンドン一九二九年」
出典:青空文庫