・・・音楽サークル、文学サークル、演劇サークル、赤色救援会の組織などがある。五ヵ年計画でキネマ館が一万五千三百軒から八万七百軒にふえる。ラジオは四百万人が聴くようになる。 実際、ソヴェト同盟は働く者の国だ! 芝居、音楽会、キネマなんかを見るの・・・ 宮本百合子 「ソヴェト労働者の解放された生活」
・・・ 誰でも多くの人はその幼年時代の或る一つの出来事に対して自分の持った単純な幼い愛情を年の立つままに世の多くの出来事に遭遇する毎に思い浮べて見ると、真に一色なものでは有りながら久遠の愛と呼び度い様ななつかしい慰められる愛を感じる事が必ず一・・・ 宮本百合子 「追憶」
・・・見張所は応急救援所をかねている。 二時間ばかり泥水と炭塵にまびれて上って来ると、ドミトロフ君は私を風呂へ案内した。よそから来たものだけを入れる体裁の風呂ではない。みんな一日七時間――八時間の労働をすますと、風呂で体を洗って家へ帰るように・・・ 宮本百合子 「ドン・バス炭坑区の「労働宮」」
・・・三宅やす子の『ウーマンカレント』を中心とし小規模の救援事業をした。野上彌生子とこれらの数年間に知る。一九二四年春ごろから少し書くことができるようになった。「心の河」「イタリアの古陶」等。湯浅芳子を知る。夏・・・ 宮本百合子 「年譜」
・・・四・一六の前から、救援運動を通じごく実践的に組織されて来た婦人部だし、みんな年配で経験は深いし、ソヴェト同盟農村託児所の話、産院、休みの家、勤労婦人の種々な権利についての話は、実際の興味をひいた。 ソヴェト同盟の話は、われわれの今日の情・・・ 宮本百合子 「飛行機の下の村」
・・・「植物の運命と人間の運命との似通いを感じることがすべての抒情詩の久遠の題目である。」「仏法のいろいろな経文を、たぐいなくありがたい抒情詩と思います今日この頃の私であります。」「水晶幻想」時代にも、彼は科学の階級性は全然把握できな・・・ 宮本百合子 「文芸時評」
・・・三男松之助は細川家に旧縁のある長岡氏に養われている。四男勝千代は家臣南条大膳の養子になっている。女子は二人ある。長女藤姫は松平周防守忠弘の奥方になっている。二女竹姫はのちに有吉頼母英長の妻になる人である。弟には忠利が三斎の三男に生まれたので・・・ 森鴎外 「阿部一族」
・・・ 伽藍はただ単に大きいというだけではない。久遠の焔のように蒼空を指さす高塔がある。それは人の心を高きに燃え上がらせながら、しかも永遠なる静寂と安定とに根をおろさせるのである。相重なった屋根の線はゆったりと緩く流れて、大地の力と蒼空の憧憬・・・ 和辻哲郎 「偶像崇拝の心理」
出典:青空文庫