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・・・他家に嫁するは入牢にあらず、憚るに足らざるなり。又親里の事を誇りて讃め語る可らずとは念入りたる注意なり。徒に我身中の美を吹聴するは、婦人に限らず誰れも慎しむ可きことなり。一 下部あまた召使とも万の事自から辛労を忍て勤ること女の作・・・
福沢諭吉
「女大学評論」
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・・・それが一昨年太郎兵衛の入牢してからは、とかく孫たちに失望を起こさせるようになった。おばあ様が暮らし向きの用に立つ物をおもに持って来るので、おもちゃやお菓子は少なくなったからである。 しかしこれから生い立ってゆく子供の元気は盛んなもので、・・・
森鴎外
「最後の一句」