• ･･･々生々業滅し難し　心々念々恨何ぞ窮まらん　憐れむべし房総佳山水　渾て魔雲障霧の中に落つ　　　　　伏姫念珠一串水晶明らか　西天を拝し罷んで何ぞ限らんの情　只道下佳人命偏に薄しと　寧ろ知らん毒婦恨平らぎ難きを　業風過ぐる処花空しく落ち　･･･ 内田魯庵 「八犬伝談余」

• ･･･「一夜の後たぎりたる脳の漸く平らぎて、静かなる昔の影のちらちらと心に映る頃、ランスロットはわれに去れという。心許さぬ隠士は去るなという。とかくして二日を経たり。三日目の朝、われと隠士の眠覚めて、病む人の顔色の、今朝如何あらんと臥所を窺え･･･ 夏目漱石 「薤露行」

出典：青空文庫

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