・・・ またこういう放電現象が夏期に多い事、および日中に多い事は周知の事実であるので、前述の時間分布は、これときわめてよく符合する事になる。 場所のおのずから定まる傾向については、自分は何事も具体的のことをいうだけの材料を持ち合わせないが・・・ 寺田寅彦 「怪異考」
・・・あるいは自然界の雑多な音響を真似てそれをもってその発音源を代表させる符号として使ったり、あるいはある動作に伴う努力の結果として自然に発する音声をもってその動作を代表させた事もあろう。いずれにしても、こういう風にしてある定まった声が「言葉」と・・・ 寺田寅彦 「言語と道具」
・・・ところが、前述の現品調査の結果でもまさしくこの支柱が最初に折れたとするとすべてのことが符合するのである。こうなって来るともうだいたいの経過の見通しがついたわけであるが、ただ大切なタンバックルの留め針金がどうして切れたか、またちょっと考えただ・・・ 寺田寅彦 「災難雑考」
・・・しかし、それにしても乗っているのが青バスであるのに、服装がどうも自分の想像している名代女優というものの服装とはぴったり符合しない。多分銘仙というのであろう。とにかくそこいらを歩いている普通十人並の娘達と同じような着物に、やはりありふれたよう・・・ 寺田寅彦 「初冬の日記から」
・・・ 聞くところによると、そのKという女優は、富豪の娘に生れ、当代の名優と云われるTKの弟子になってその芸名のイニシアルを貰い、花やかに売出したのであったが、財界の嵐で父なる富豪が没落の悲運に襲われたために、その令嬢なるKは今では自分の腕一・・・ 寺田寅彦 「初冬の日記から」
・・・ 数学も実はやはり一種の語学のようなものである、いろいろなベグリッフがいろいろな記号符号で表わされ、それが一種の文法に従って配列されると、それが数理の国の人々の話す文句となり、つづる文章となる。もちろん、その言語の内容は、われわれ日常の・・・ 寺田寅彦 「数学と語学」
・・・時間の下に付した符号は乗客の多少を示すもので、これはほんの見当だけのものである。○はいわゆる普通の満員、△は座席はほぼ満員だがつり皮は大部分すいている程度、×は空席の多いいわゆるガラアキのものである。◎は極端な満員、××は二三人ぐらいしかい・・・ 寺田寅彦 「電車の混雑について」
・・・の全部はtの符号に含まれていない。 ニュートンの考えたような、現象に無関係な「絶対的の時」はマッハによって批評されたのみならず、輓近相対性原理の研究と共にさらに多くの変更を余儀なくされた。この原理の発展以来「時」の観念はよほど進化して来・・・ 寺田寅彦 「時の観念とエントロピーならびにプロバビリティ」
・・・彼の知人名簿には十年も前に死んだ人の宿所がそのままに残っていて、何の符号も付いていない。また同じ人の名が色々な住所と結合してぱらぱらに散在しているので、どれが現住所であるか、当人でさえ時々間違えることがありそうである。年賀はがきを大切にしま・・・ 寺田寅彦 「年賀状」
・・・ さび、しおり、おもかげ、余情等種々な符号で現わされたものはすべて対象の表層における識閾よりも以下に潜在する真実の相貌であって、しかも、それは散文的な言葉では言い現わすことができなくてほんとうの純粋の意味での詩によってのみ現わされうるも・・・ 寺田寅彦 「俳諧の本質的概論」
出典:青空文庫