-
・・・ 来る毎度に肇がぶちまけた話をする様になったと云うのはたしかである。 けれ共千世子の読む物、書くものに対して一歩もふみ込まない事がいかにも快い事の一つであった。 親切な保護者に両親はなるべきもので監督者にはなるもんじゃあない。・・・
宮本百合子
「千世子(二)」
-
・・・和主もこれから見参して毎度手柄をあらわしなされよ」「これからはまた新田の力で宮方も勢いを増すでおじゃろ。楠や北畠が絶えたは惜しいが、また二方が世に秀れておじゃるから……」「嬉しいぞや。早う高氏づらの首を斬りかけて世を元弘の昔に復した・・・
山田美妙
「武蔵野」