・・・理由は天文学的数字の予算をまかなえないからであり、そのなかで小さくない部分を占めている終戦処理費というものを出さなければならないからとされている。 この処理費というものはどういう風にしてどこへつかわれるものなのだろう。戦時中の軍備施設を・・・ 宮本百合子 「偽りのない文化を」
・・・農村の学校、診療所、産院等五ヵ年計画では大した予算で増設されている。 一度あの様子が見せたい、と私はその人に心から云った。そうすれば、いろんなデマはうそで農民の幸福というものはどんなものであるか分るし、そのために闘い、プロレタリアと共に・・・ 宮本百合子 「今にわれらも」
・・・ いつなおると云うあてもない病人にかかる金の予算はもとより立たないけれ共、月に一週間の入院料、前後のこまこました物入り、薬代などのために、月二十円は余分に入るとお金は云った。 栄蔵は、身内の事だからそうそう角だった事を云わずに、嫁だ・・・ 宮本百合子 「栄蔵の死」
・・・産業別の生産組合は、或る一つの企業をやるとき、必ず天から勤労者福祉資金何割というものを予算に加えて仕事をはじめる。 五箇年計画でソヴェト同盟の中には、水力発電所、工場、集団農場、夥しくふえた。ソヴェトで工場が建ち集団農場が一つふえたとい・・・ 宮本百合子 「「鎌と鎚」工場の文学研究会」
・・・文部省は一億円という尨大な予算を憲法祭のためにとった。新歴史教科書もその関係で発表されたのであろう。 考えてみると、このようにして日本の児童が新歴史教科書をもつようになった事実は、決してただ国民学校の一課目の教科書が新しく制定されたとい・・・ 宮本百合子 「『くにのあゆみ』について」
・・・当時の代議士たちは、議会の白い建物の中で、一人のこらず夢のように巨額な軍事予算に賛成の手をあげて来たのであった。 国民経済は全くうちこわされ、各家庭の経済は、ひどいやりくりももうこれぎりという際まで来た。モラトリアムが、インフレ防止の非・・・ 宮本百合子 「現実の必要」
・・・軍事予算というものを、無法にどんどん出しましたから、それで、お金の値打ちが下って、物と金の釣合いがとれなくなって、物価は二十五倍に騰った。物価が騰ったから月給もあがったといって二十五倍になった月給を貰った人は一人もない。そのようにして、今度・・・ 宮本百合子 「幸福について」
・・・が、校舎の不足、教師予算の不足その他で、就学率は、理想通りには決して行かなかった。八歳でチャンと就学した児童は三〇パーセントだった。七〇パーセントはもっとおくれていた。ロシア共和国で四年制の児童六九・五パーセントは九歳で入学している。 ・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェト同盟の文化的飛躍」
・・・「ところで、この五ヵ年計画なるものだが、どうだ、この途方もない生産拡大予算は! 愈々共産主義の非確実性を露出しはじめたぞ。」ドイツやアメリカのブルジョア学者はそれを学理的にうらづけた。が、其等は資本主義国の生産事情にとっては、まことに誇大妄・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェトの芸術」
・・・ 本年度の国庫予算は六月下旬に議会を通過した。総額三、九九三億円である。前年度の予算総額は二、一四三億円であった。ほとんど倍額に近いこの予算総額は、最近における日本のインフレーションのすくいがたい悪化を物語っており、同時に一般人・・・ 宮本百合子 「今日の日本の文化問題」
出典:青空文庫