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・・・ そして、ほんとうに、こんなオホーツク海のなぎさに座って乾いて飛んで来る砂やはまなすのいい匂を送って来る風のきれぎれのものがたりを聴いているとほんとうに不思議な気持がするのでした。それも風が私にはなしたのか私が風にはなしたのかあとはもう・・・
宮沢賢治
「サガレンと八月」
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・・・そこに鉄格子がはまっていて、雲しか見えず、オホーツク海をわたって吹く風の音しかきこえない高窓を見た。その下に体の大きい重吉がはげた赭土色の獄衣を着て、いがぐり頭で、終日そうやって縫っている。重吉の生きている精神にかけかまいなく、それが規則だ・・・
宮本百合子
「風知草」